日本の家(その3)

2019.04.15

長谷川逸子 設計「桑原の住宅」1980。パンチングメタルの奥にベランダがあり、その奥に窓があります。

 

「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」展の特徴は戦後の記念碑的な住宅の他に、ここ数十年のエポックとなった作品も多く出展されていたことです。 展示されていた70軒以上の住宅作品で唯一私が内部を拝見していたのは、長谷川逸子 設計「桑原の住宅」1980でした。学生だった私はいつものように呼び鈴を押しながら「内部を見せて下さい!」とお願いしました。

松山市郊外の田園風景でシルバーに光る住宅です。それは家の一部にアルミのパンチングメタルが張られ、その向こう側にベランダがあります。パンチングメタルはスクリーンのように空の色を映し出したり、光の粒を建物に落とたりします。夜になると光と影が逆転し、パンチングメタルは存在感をなくします。天候や時刻によって表情を大きく変えるのです。

パンチングメタルという材料はそれまで建築の一部に使われたことはありましたが、これほど大胆に使われた事例はありませんでした。スクリーンのようなパンチングメタルは建築の外部と内部の間で新しい表現・多様性・快適性を切り開いたと言えます。また、それは柱・梁、屋根・壁・窓などの建築の基本的ボキャブラリーに軽やかな要素を加えることとなりました。この傾向はその後、エキスパンドメタルや、格子/ルーバーの今日的な表現に続いています。

このように建築の新しいことはしばしば「日本の住宅」から始まります。

 

 

夜になると光と影が逆転し、全く別の表情を表します。

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千葉・柏の住宅設計事務所 古里設計
(建築家 古里正)
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