#016 「ル・コルビュジェ展」を観て
2007.07.16
先日、六本木の森美術館で「ル・コルビュジェ展」を観て参りました。ル・コルビュジェは近代建築に最も影響を与えたといわれる建築家で、今回の展示は彼の描いた絵画と建築が強く関連づけられているのが特徴でしょう。
私は30歳の頃ヨーロッパを巡ったとき、シュトゥットガルトに1927年作られた集合住宅展示場(ヴァイセンホフのジードルンク)を観る機会がありました。それは当時、近代建築を広めるべくヨーロッパ諸国から様々な建築家が招かれ、実験住宅を建設したものですが、実は現在でも住居として使われています。私は若さに任せ、呼び鈴を押しつつ、「中を見せてください!!」とお願いしたところ、幸運にもル・コルビュジェの作品の内部を見せて頂くことができました。奥様に家の中を案内して頂きながら強く感じたのは、「住人の建築家に対する敬愛」でしょうか。この住宅の歴史的意義・建築家の考えをとてもハッキリ理解なさっているようでした。
建築を観に行って、このような事例に出会うのはそう多くはありません。有名な建築家の設計した建築を観に行って、建物に対する住人の不満を聞かされたこともあります。建物はある意味で、社会や建築に対する理念の表現でもありますが、日常の煩雑さと摺り合わないときがあります。それは建築家の提唱する理念が不完全であるとも、理念を日常で感じ取れない住人のパワー不足であるとも、両方の指摘を否定できません。 建築において、ひとつの原型(プロトタイプ)モデルを提示することは、そう難しいことではありません。実際の建築の設計とは、その理念と日常を結びつける作業に他ならないと私は思います。だからこそ、設計という作業に膨大な時間と叡智が必要とされるのです。
言葉にならない「想い」までも
「家」にする
千葉・柏の住宅設計事務所 古里設計
(建築家 古里正)
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