#136 マティス展を観て

2023.08.13

「赤の大きな部屋」
会場では作品の半分ほどが撮影可なのには少し驚きました。

先日、上野に「マティス展」を観てまいりました。

マティスは20歳で画家を志し、何と!27歳で作品が国家買い上げとなっています。多くの画家に比べ早熟なのだと思います。

特に若い頃の彼は短期間にフォーヴィズム、新印象派、キュビスムと当時の絵画の潮流に次々と挑戦(または模倣)し続けます。節操がない訳ではなく、あるべき絵画表現を実験しているのだと思います。また、明らかにコロー、セザンヌなどの特定の作品に強く傾倒しているのも同様です。

「緑色の食器棚と静物」
明らかにセザンヌの作品を強く意識しています。

デッサンや彫刻を何度も制作し、それに対応する絵画を何度も描き直す・・・「座るバラの裸婦」は少なくとも13回描き直し、最後は「のっぺらぼう」の顔になってしまっています。それは破綻したのではなく、彼なりのこの絵の到達点と言うことでしょう。

また、彼ならではの悩み「線と色が矛盾する」・・・スケッチをもとに線描した絵に彩色すると、絵の意味合いが変わってしまう・・・はマティスが絵画表現を真剣に模索していたことを物語ります。晩年、健康上の理由から絵筆を持つことが難しくなっても「切り絵」によりその矛盾を超越しました。「切り絵」は彼独特の表現であり、現代アートに先鞭を付けた表現に見えます。

以前、ブログ「#101 画家の生涯」で田中一村を取り上げました。マティスは一村に比べれば恵まれた画家人生とも言えますが、絵画に対する直向きな探究心は一村以上かも知れません。

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