#120 長野県立美術館を観て

2022.06.30

東山魁夷館 中庭。谷口氏は静寂な水の演出に長けています。

先日、長野県立美術館に行って参りました。昨年オープンしましたが、日本建築学会作品賞始め各賞総なめの美術館です。

旧称は信濃美術館と言い、1966年に日建設計の林昌二氏の設計で完成しました。HPシェルの屋根形状が美しく、氏の代表作のひとつとなりました。

その後、1990年に谷口吉生氏の設計により、東山魁夷館が増築されました。谷口氏の禁欲的な造形と豊かな空間は以降、国内外の多くの美術館で実現しました。

新館全景。ロビーなどが屋外に大胆に解放され、心地よい。

今回は林昌二氏設計の旧館が解体され、その跡地にプランツアソシエイツの宮崎浩氏設計による美術館がオープンしました。宮崎氏は正当なモダンデザインの継承者として高い評価を得ています。

こうして三氏のお名前を連ねると、それぞれの時代のトップランナーが設計を担当しているのが分かります。また、お隣の善光寺の本堂は竣工して300年を越えますが、現代建築は運が良くても50年ほどのようです。現代建築は社会の変化が激しいせいもあり、古典建築のように長寿ではありません。そのような状況で、それぞれの時代において設計者として最もふさわしい建築家を選び続け、美術館としてのクォリティーを保つ事例は珍しいと感じます。

今回は善光寺のご開帳もあり、多くの観光客がいらっしゃいましたが、次回はオフシーズンにまた来ようと思いました。

ノモトーンを基調とした内部空間。

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(建築家 古里正)
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